空家問題…一言にまとめてしまうにはあまりにもややこしい問題である。
なぜなら外部不経済という名の近隣住民における問題・相続税や固定資産税などの税に関する所有者側の問題・ひいては人口減少、超高齢化社会まっしぐらの中で消滅可能性都市が出てきたという国を挙げての問題
空家というワードだけで以上のような問題が山積みなのだ!!!
では、分かりやすく先ずは空家の現状について調べていくとする。
現在、日本における日本の空家数は820万戸と5年前に比べ、63万戸(8.3%)増加。空家率は(総住宅数に占める割合)は、13.5%と過去最高に!つまり日本の住宅は7戸に1戸は空家ということになる。
まぁ考えてみれば、家の近所を30分ほど散歩しているだけで肝試しに使えそうな廃墟と化した住宅が1~2戸は出てくる。
ただそれにしても7戸に1戸とは多い!
そもそも空家の定義とはなんだろう?
空家の内訳
(1)賃貸用の住宅
新築・中古を問わず、賃貸のために空家になっている住宅
(2)売却用の住宅
新築、中古を問わず、売却のために空家になっている住宅
(3)二次的住宅
別荘…週末や休暇時に避暑・避寒・保養などの目的で使用される住宅で、ふだんは人が住んでいない住宅
その他…普段住んでいる住宅とは別に、残業で遅くなった時に寝泊まりするなど、たまに使用する人がいる住宅
(4)その他の住宅
上記以外の人が住んでいない住宅で、例えば転勤・入院などのため居住世帯が長期にわたって不在の住宅や建て替えなどのために取壊すことになっている住宅など
以上が空家の大まかな内訳であるがここで問題になるのが
①入居者が決まらない(1)賃貸用の住宅
②長期不在等で放置されている(4)その他の住宅なのである。
①②以外の住宅については少なからず人の出入りがあり管理がなされるためそれほど問題にはならない。といこうことはつまり問題になるのは「空いている家」ではなく「放置された家」となるのだ。
「放置された家」がどのような問題を生み出すのか…
これがまさに冒頭で記載した外部不経済という名の近隣住民における問題なのである。
・放火による火災
・倒壊の危険(地震・台風)
・不審者(動物)の侵入
・景観の悪化………
挙げていくとたくさん出てくるのである。こうした問題は近隣住民に迷惑をかけるだけだは終わらず、管理不全の空家等が地価に影響をしかねないのである。
こんなにも悪いことだらけにも関わらず増え続ける空家…増える原因を探っていくと
①入居者が決まらない(1)賃貸用の住宅が増える原因
→賃貸住宅にも空室が出ているのに新築の供給数が年々増加(平成25年度の新設住宅着工数でみると賃貸物件は15.3%アップ)
こんな事が起こる背景としては相続税としてのアパート建築がある。まだまだ不動産建築業においては相続税対策の方法として士業とタッグを組み当たり前のようにアパート経営を勧めるという慣習があるようだ。
②長期不在等で放置されている(4)その他の住宅が増える原因
⒈立地的な問題
・遠くて不便と敬遠される
・そもそも人口が減少しており、住む人がいない
⒉建築基準法の問題
・立地としてはニーズがあっても活用できない
・現行の建築基準法に合致せず、今と同程度の住宅が建築できない
・費用的な問題
<所有者側の問題>
・改装などなにか手を打とうにもお金がない
・空家を壊して更地にすると固定資産税が高額になるためとりあえず置いておくしかない
<購入者側の問題>
・古い建物を購入したいが融資がつきにくい
⒋情報面、市場の問題
・中古住宅購入時の情報が少なく不安
・空家を活用したくても情報がない
上記が考えられる増加の原因である。
ここで大きく取り上げたいのが所有者側の問題である。所有者としてもわざわざ近隣に迷惑をかけたくて放置しているなんてことはないはずである。
所有者は所有者なりに放置せざる理由があるのだ。その理由となる大部分が相続に関係するのではなかろうか。
実家を相続したが既に家を持っていて利用しない
老後施設に入所して帰る予定はないが売却は相続までしない
建物はもう利用しないが壊すと固定資産税が上がってしまう
遠方に住んでいて物理的に管理するのが難しい
こうした問題は浮き彫りになってきているのに固定資産税の件など現在の税制は空家問題を助長しかねないものとなっている。完全に遅れをとっているのだ。
ただ、だからといって放置状態を続けていいわけでは決してない。
近隣住民への迷惑はもちろんのこと、いざ売却、賃貸といった活用しようとしたときには建物自体の不動産価値は大きく減少し、解体費用など多大な出費が余計に増えていくことになり自分にも放置したことへのしっぺ返しがきてしまうのである。
では空家問題にとってなにが一番大事なことか…
それは早めに対策を考えること!これにつきるのではないだろうか?